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この歌を読んで手首を見た。
あ、ほんとだ、海の色!とはっとした。 わたつみ、という原始的な海を連想させる響きに、圧倒的な存在感で海が目の前に広がる。 そんな海を前に私は無力だと思う。でも手首を見ればたしかに海の色。しかも頼りないほどその線は細く薄い。 本当に、一体どんな罪があってこの身体の中におさまっているの、と思う。 この歌の新鮮さは、血液と海水の濃度ではなく、その色でつないだところにある。 血液の色と言えば赤色、私たちが目にする血はいつも赤い。 私の身体の中の大海は、もう陽を受けてきらきらすることもなく、ただひっそりとその青い色を見せるだけ。この身体はわたつみに満たされている。 遥かなる海と私という存在を、一気につなぐ三十一文字に、身体の中で音もなく波が打ち寄せているような感覚に襲われた。 その静寂は、体温を超えた不思議な温かさをもっていた。 華野 まり
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